私:
「なるほど。ようは、「あなた死にましたよ」、「だから天国へ行きな」って言って
あげるってことですね。」
宮地社長:
「まあ、仏教なので、天国という言葉はどうかと思いますが、
一般的にはそんなようなご理解でいいと思いますよ。」
私:
「じゃあ、この葬儀式がないと、死者は自分が死んだことが
分からず、どこに行けばいいかも分からないと。」
宮地社長:
「そういうことになるんでしょうね。仏教では。
だから、お通夜、葬儀式、告別式の中でもこの
葬儀式が一番重要なんです。
葬儀全体のメインですね。」
私:
「へ~。一番のメインの儀式なのにその存在を
知りませんでした。
お通夜と告別式は知ってるのに。」
宮地社長:
「通夜式っていうのはもともと、死者が出たらすぐに
家族だけで集まって、夜を通してご遺体を守ることを
いうんです。」
宮地社長:
「それで、翌日の告別式ですが、これは読んで字のごとく
「別れを告げる」式です。もともと仏教にはなかった言葉の
ようですが。
ご遺族ではなく、一般の参列者が故人に別れを告げる式ですね。」
宮地社長:
「通夜式で夜通しご遺体を守って、
葬儀式で死者に引導を渡して焼香し、
告別式で遺族以外の一般の方に別れを告げてもらう、
というのが本来の意味での一連の流れです。」
私:
「じゃあ、お通夜って本来はあんなオープンに
やるもんじゃないんですか?」
宮地社長:
「今は、告別式よりも通夜式にお見えになる会葬者の方の
ほうが多いので、お通夜=人がいっぱいくる、という図式に
なっていますが、そもそもは身内だけで夜通し死者を守る
のが通夜なんですね。」
私:
「こういうと不謹慎かもしれませんが、なんとなく
告別式より通夜のほうが「気楽」「手軽」なイメージがあって、
どちらかに参列するとなると、お通夜に行こうって気になっちゃいますね。」
宮地社長:
「実際、そういう方が多いので、ほとんどのご葬儀では
お通夜のほうがご参列者の数は多いですね。」
私:
「でも、さっきの流れでいくと、通夜式~葬儀式までは、
身内だけの儀式で、その後の告別式で初めて、
外部の参列者が参加していい感じですね。」
宮地社長:
「厳密にはそうかもしれませんが、現実には
皆さんそれぞれご事情がありますから、
その時々の社会の構造に即して柔軟に解釈・運用されて
いくものだと思いますよ。
大事なのは、故人を偲ぶ気持ちそのものですから。」
私:
「確かに、我々一般素人はそれでいいかもしれませんが、
お坊さんとか葬儀社さんは、本来的な意味を知った上で
現実に即してアレンジしてるんですね。」
宮地社長:
「でも、意外とこういった、それぞれの儀式の本来の意味を
知らない葬儀社もあるんですよ。
例えば、葬儀の際の看板に
「〇〇家 葬儀・告別式」
と書かずに、
「〇〇家 告別式」
としか書かないとかね。
お坊さんからすると、「葬儀式」こそ葬儀全体の中で
最も重要なものなのに、それを記載しないとは何事かと、
お怒りになることもあります。」
私:
「なるほど。お坊さんからすると、自分の一番の役割が認識されて
ないわけですからね。」
なんで通夜だの告別式だのと、同じような儀式を2回も
やるんだろうと思ってました。
単純に、2日かけてやらないと、「その日はどうしても行けない」という
人がいるからなんだろうな~程度にしか考えてなかったですが、
それぞれにそんな意味と役割があったんですね。
なんか、「引導を渡す」って、「とどめを刺す」みたいな意味で引用して
ましたが、ちょっと違いましたね。
敵に「お前はもう死んでいて、天国に俺が送ってやる」って、
なんか変ですもんね。
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